2023年12月22日
2023年 第50週 (2023.12.11~ 2023.12.17)
★県内で注目すべき感染症
~注意点や予防方法~
〇インフルエンザ
インフルエンザは、例年 1 月~2 月頃にピークとなる疾患ですが、すでに県全域で注意報値を超えています。
県内では、今シーズンの始まりである第 36 週(9 月 4 日~10 日)に定点当たり報告数が 3.11(報告人数:137 人)とインフルエンザの流行の目安とされている 1.00 を超え、第 41 週から 10 週連続で注意報値を超えています。
また、学校等で集団発生による休校、学年閉鎖、学級閉鎖が多数報告されているので注意してください。
全国でも、令和 4 年第 51 週(12 月 19 日~25 日)に流行期入りした後、1.00 を下回ることはなく増加し、今シーズン初めて警報値を超えました。
インフルエンザ定点医療機関での迅速診断では、インフルエンザ A 型が 995 件(100%)を占めました。
第 50 週の県内ウイルス検出情報では、A(H3)が 2 件、A(H1)pdm09 が 3 件検出されています。
また、国内のインフルエンザウイルスの検出状況は、直近の 5 週間(2023 年第 46 週~第 50 週)では A(H3)の検出割合が最も多く 57.9%、次いで A(H1)pdm09 が 38.4%、B ビクトリア系統が 3.7%でした。A(H3)と A(H1)pdm09がともに多く検出されていることから、複数回感染する可能性があるので注意してください。
ワクチン接種を希望される方へ
・ 接種に当たっては、あらかじめ医療機関に電話等で予約をお願いします。
・医療機関訪問時は、マスクの適切な着用などの感染対策の徹底もお願いします。
・インフルエンザワクチンは重症化予防などの効果がある一方で、発病を必ず防ぐわけではなく、接種時の体調などによって副反応が生じる場合があります。
医師と相談のうえ接種いただくとともに、接種後に体調に異変が生じた場合は医療機関にご相談ください。
・インフルエンザワクチンと新型コロナワクチンは同日に接種することが可能です。
ただし、新型コロナワクチンは前回接種からの間隔等の要件があるため、必ず同日に接種できるわけではありません。
〇新型コロナウイルス感染症(COVID-19)
<予防方法>
・手洗い・消毒は感染予防に特に有効です。
・密閉・密集・密接の回避と家やオフィスなどの換気を十分にしましょう。
・医療機関受信時や混雑した電車やバスに乗車する時など、効果的な場面でのマスク着用をお願いします。
〇咽頭結膜熱
咽頭結膜熱は発熱・咽頭炎及び結膜炎を主症状とするアデノウイルスによる急性の感染症です。
県内では、第 41 週から 9 週連続で注意報値を超えており、過去 10 年の同時期と比較してかなり多い報告数となっています。
また、定点医療機関からのホット情報でもアデノウイルスを原因とする感染症の報告が多いので注意が必要です。
潜伏期は 5~7 日で、症状は発熱、咽頭炎(咽頭発赤、咽頭痛)、結膜炎が三大主症状です。
プールを介して流行することが多いことから、「プール熱」とも呼ばれています。
<予防方法>
・手洗い・うがいが大切です。
流水と石けんでよく手を洗いましょう。
・タオル・コップ等の共用、感染者との密接な接触はさけるようにしましょう。
・回復後にも2 ~4 週間の長期にわたり便からウイルスが検出されることがあるので、特に、外出後、食事の前、トイレの後の手洗いを徹底しましょう。
〇A 群溶血性レンサ球菌咽頭炎
この病気は、A 群レンサ球菌による上気道感染症です。
患者の咳やくしゃみなどのしぶきに含まれる細菌を吸い込むことによる「飛沫感染」、あるいは細菌が付着した手で口や鼻に触れる「接触感染」が主な感染経路になります。
典型的な症状は、2~5 日の潜伏期を経て、突然 38℃以上の発熱、咽頭発赤、苺状の舌などがみられます。
1 週間以内に症状は改善しますが、まれに重症化し、喉や舌、全身に発赤が拡がる全身症状を呈することがあります。
県内では、第 46 週から 4 週連続で注意報値を超えており、過去 10 年の同時期と比較してかなり多い報告数となっています。
<予防方法>
・患者との濃厚接触を避け、手洗い、咳エチケットを心掛けましょう。
〇ダニの感染症(SFTS・日本紅斑熱・つつが虫病)
「つつが虫病」は、「ツツガムシ」に咬まれることによって感染する感染症です。
高知県では、毎年秋から冬にかけて多く報告されており、ダニの一種である「ツツガムシの幼虫(0.2mm)」が媒介します。(全てのツツガムシが病原体を持っているわけではありません。)
第 49 週は、中央東から「つつが虫病」の発生届が 2 例あったので、注意してください。
また、「日本紅斑熱」や「SFTS(重症熱性血小板減少症候群)」は、屋外に生息する比較的大型(吸血前で3~4mm)の「マダニ」が媒介する感染症です。
マダニは、暖かくなる春から秋にかけて活動が活発になります。
この時期は、人も野外での活動が多くなることから、マダニが媒介する感染症のリスクが高まります。
(全てのマダニが病原体を持っているわけではありません)。
2023 年は人口 10 万人あたりの報告者数が、SFTS は全国 1 位、つつが虫病は 3 位、日本紅斑熱は 5 位と非常に多くなっていますので、畑や野山に出る時には十分注意してください。
<予防方法>
・マダニやツツガムシに「咬まれないようにする」ことが予防策になります。
・野山や畑などに出る時には、長袖・長ズボンで肌の露出を避けましょう。
・ツツガムシには、虫除け剤(有効成分:ディート)も有効です。
<発熱等の症状が出た場合>
・野山に入って数日~数週間経過した後、発熱等の症状が出た場合は、医療機関を受診してください。
・受診の際は、発症前に野山に立ち入ったこと(ダニに咬まれた可能性)を伝えてください。
<参考>
*重症熱性血小板減少症候群(SFTS)に関する Q&A(厚生労働省)
>>詳細はこちら
*高知県衛生環境研究所 ダニが媒介する感染症及び注意喚起パンフレット
>>詳細はこちら
【高知県 衛星環境研究所
感染症発生動向調査(週報)より参照】
(2023年12月20日更新)